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【fluct Magazine 過去記事】株式会社はてなにGoogleのサービスを使ったメディア運営のノウハウと急伸しているネイティブ広告について聞いてきました

fluct Magazine

2015.08.03

【fluct Magazine 過去記事】株式会社はてなにGoogleのサービスを使ったメディア運営のノウハウと急伸しているネイティブ広告について聞いてきました

以下は、Googleのサービスを活用したメディア運営のノウハウや、急成長するネイティブ広告について、株式会社はてなに伺ったインタビュー記事です。

はてなの原点と現在地


日本のインターネット黎明期から、ユーザー参加型のメディア企業として成長してきた株式会社はてな。「はてなブログ」「はてなブックマーク」「人力検索はてな」など、複数のメディアを運営してきた同社に、メディアのマネタイズ戦略や注目を集めるネイティブ広告のあり方について聞きました。

メディア事業を軸としたテクノロジー企業としての展開


── まずは、はてなという会社の概要と、提供しているサービスについて教えてください。
株式会社はてなは、2001年に京都で設立されたインターネット企業です。創業以来、ユーザー向けのインターネットメディアを数多く展開しており、近年はその知見を活かし、BtoB領域にもビジネスを拡大しています。

私たちを一言で表すならば、「ユーザー向けのメディア運営を基軸としたテクノロジー企業」だと考えています。BtoB領域に踏み出した今も、メディア運営で培ってきた知見と価値観が、事業の根幹にあるという認識です。

提供中のサービスとしては、「はてなブログ」「はてなブックマーク」などのコンシューマー向けメディアに加え、「はてなブログMedia」「ネイティブ広告」「BrandSafe はてな」など、企業向けのサービスも展開しています。現在、月間2億PV、約4,500万人のユーザーに利用いただいており、ITリテラシーの高い30〜40代の男性ユーザーを中心に、多くのIT関連企業のエンジニアの方々にご活用いただいています。

メディア運営のポリシー:「嘘をつかない」「ユーザー体験を損なわない」


── 多くのメディアを展開されるなかで、大切にしているポリシーがあれば教えてください。
2つの柱があります。
1つ目は「嘘をつかないこと」。広告とコンテンツの境界を曖昧にせず、ユーザーにとって必要な情報を正しく、誠実に伝えることを重視しています。

例えば、ネイティブ広告においては、いわゆる"ノンクレジット"問題が指摘されることがありますが、はてなでは、記事広告においてもページヘッダー、記事リード、記事末尾と複数箇所にクレジットを明示するようにしています。これはユーザーへの信頼を損なわないための、当社としての基本的な姿勢です。

2つ目は「ユーザー体験」。当社が提供する記事広告やネイティブ広告は、原則としてクライアント企業の記事ページやオウンドメディアにのみ遷移する設計としています。たとえば、「はてなブックマーク」内のネイティブ広告は、App Storeやアフィリエイトリンクに飛ばすのではなく、必ず記事という形式のコンテンツへと誘導します。
また、「はてなニュース」編集部が記事広告のコンテンツ制作を担当しており、広告でありながら読みごたえがあり、楽しめる記事を目指しています。広告であっても、ユーザー体験を阻害しないコンテンツであることが重要だと考えています。

広告マネタイズの変遷とGoogle選定の背景


── 御社における広告収益の取り組みの変遷について教えてください。
当初はGoogle AdSenseを活用して収益化を図っていました。その後、バナー広告やテキスト広告の純広告枠を整備し、営業活動を強化。段階的に、純広告とAdSenseを同一枠で運用するスタイルへと進化していきました。

現在は、Googleのメディア向けプラットフォームであるDoubleClick Ad Exchange(AdX)を中心に運用しています。これにより、柔軟な価格設定と高単価な広告配信が可能になり、管理工数を抑えながら安定した収益化を実現しています。

── 他社のSSPやアドネットワークと比較して、なぜGoogleを主軸に選ばれたのでしょうか?
他社のネットワークも積極的にテストしましたが、最終的にGoogleの収益性が最も高く、管理効率の観点からも優れていたためです。複数のアドネットワークを併用すると、広告配信の欠損や管理の煩雑さが課題になります。そのため、安定性と収益性を両立できるGoogleのプロダクトに一本化するという判断に至りました。

Private Auction・Preferred Dealの現状と展望


── プライベートマーケットプレイス(PMP)やPreferred Dealの活用について、どのような取り組みをされていますか?
Private Auctionについては、DSP各社からのオファーを受け、収益性の高い案件を優先的に配信しています。Preferred Dealについては、FreakOut社との一部取り組みを除き、案件数が限られているのが現状です。

その背景には、OpenRTBおよびPrivate Auctionの運用最適化に注力することで、十分な収益性を確保できているという事情があります。DoubleClick Ad Exchangeでは、フロアプライスの設定が非常に柔軟で、広告主や条件ごとに価格を細かく調整できるため、日々の運用でパフォーマンスを高めています。

── 具体的には、どのような運用をされているのでしょうか?
たとえば、競争率の高い枠ではフロアプライスを引き上げる、逆に落札率の低い枠では下げるなど、データに基づいた価格調整を毎日実施しています。

実際に、最低落札価格を引き上げても収益性が改善するケースもあり、柔軟な対応が重要だと考えています。
Preferred Dealについても、今後の市場動向を見ながら、媒体としての提案機会を増やしていきたいと考えています。

ネイティブ広告の特性と高評価の理由


── ネイティブ広告が好調とのことですが、他社との違いはどのような点にあるとお考えですか?
当社が提供するネイティブ広告は、「はてなブックマーク」内に表示されるインフィード型が中心です。大きな特徴は、はてなブックマークがつきやすく、ホットエントリー入りによる自然流入の拡大が見込める点です。
ホットエントリーに入ると、ソーシャルメディアやキュレーションメディアにも波及しやすく、広告としてのリーチが大きく広がります。この仕組みにより、コンテンツマーケティングを重視する企業にとって、当社のネイティブ広告は高い親和性を持つと評価いただいています。

また、記事広告に関しては以前から提供しており、「はてなニュース」編集部が1本ずつ丁寧に制作を行っています。専門性の高い内容でも、ユーザーが楽しみながら読める構成に仕上げる力があり、クライアントからの信頼も厚く、リピート率も高いのが特徴です。

今後注力したい領域とサービス展開


── 今後注力したい技術や領域について教えてください。
現在注力しているのが、レコメンドエンジンの開発です。テスト版はすでに完成しており、本文情報やタグ情報など、はてなブックマークならではのデータを活用して他社と差別化を図っています。

さらに、有害コンテンツへの広告配信を防ぐ「BrandSafe はてな」も注力領域の一つです。はてなブックマークの仕組みを活用し、違法・不適切サイトの判別を行う本サービスは、多くの広告主に支持されています。
これからも、メディア運営で培ってきた強みを活かしながら、アドテクノロジー領域において信頼性と収益性の両立を追求するサービスを展開していきたいと考えています。

広告事業者へのメッセージ


── 広告事業者に対して期待することがあれば教えてください。
一つ目は、ユーザー体験と広告収益の両立を見据えたご提案をいただけることです。単に収益性を追うだけでなく、メディアとしての価値を理解した上での提案が、長期的な信頼関係につながると感じています。

二つ目は、シミュレーション値と実際の成果の乖離を減らす取り組みです。現場では、提示されたCPMが実績と大きく乖離していたという事例が少なくありません。双方がリスクとリターンを共有しながら、前向きなテスト・提案ができる関係性を築いていけることを期待しています。

最後に


── 最後に、この記事をご覧の皆さまにメッセージをお願いします。
現在、当社の営業チームは9名体制で活動しています。自由度が高く働きやすい環境で、新しいチャレンジにも前向きに取り組める風土があります。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
(本記事は、DoubleClick Ad Exchangeの導入支援事例ではありません)