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「アプリの虎」から学ぶアプリ開発でよくある失敗とスマホアプリ運用で大切なこと@イベントレポート
2017.08.09
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アプリの虎 イベント参加レポート
アプリマーケティング支援で注目を集めるRepro社主催のイベント「アプリの虎」に参加しました。本イベントでは、アプリを活用している企業の担当者が、アプリの位置付けや企画・開発時の苦労について率直に語る場となっています。今回は、ユナイテッドアローズ、JALカード、ASKULという3社の担当者による登壇が行われました。
3社に学ぶアプリ開発と運用の実態
ここからは、各社がどのような背景や課題意識を持ってアプリ開発に取り組んだのかをご紹介します。
ユナイテッドアローズのアプリ開発事例
インタビュアー:まず、ユナイテッドアローズの概要を教えてください。
安藤彩子氏(経営企画本部 デジタルマーケティング部 デジタルコミュニケーションチーム リーダー):当社は18のストアブランドを展開し、国内243店舗(海外直営3店舗を除く)でセレクトショップを運営しています。オンラインストアも展開し、リアルとデジタルの融合を推進しています。
以前は、来店促進を目的とした「オンラインストアアプリ」と、ポイントカード機能を持つ「HOUSE CARDアプリ」の2本を運用していました。現在は、購買体験の価値向上を目指し、2つの機能を統合した「UNITED ARROWS LTD.公式アプリ」へと刷新しています。
プロジェクトでは、社内の部門ごとのニーズの違いにより目的が揺らいでしまった経験がありました。その背景には、ゴールの認識共有や役割分担の曖昧さがありました。この経験から、開発開始前の合意形成がいかに重要かを実感しました。
現在は、ユーザーの導線を可視化するためにReproを活用し、ページ遷移やリテンション分析を行なっています。今後は他のデータとも掛け合わせ、統合型マーケティングの実現を目指しています。
JALカードのアプリ開発事例
インタビュアー:JALカードではどのような課題がありましたか?
鳥海淳一氏(アプリ営業・マーケティング本部 営業部 業務・企画グループ マネージャー):JALカードは、会員数327万人を抱えるクレジットカードです。2015年に会員向け「JALカードアプリ」をリリースし、現在までに35.8万ダウンロードを達成しています。
当初はNFC決済や多数の機能を盛り込んだ構想がありましたが、結果的に目的が曖昧になり、機能を厳選して提供する方針に転換しました。特約店検索、クーポン発行、ゲームコンテンツの3つに絞り込み、運用を開始。現在は、ジオフェンス技術を活用した空港内限定の情報発信など、新機能の拡充にも取り組んでいます。
審査段階でJALの偽アプリと誤解されるなどのトラブルもありましたが、社内での学びとして活かしています。今後は継続利用を促進し、100万ダウンロードを目指すロードマップを描いています。
ASKULのアプリ開発事例
インタビュアー:ASKULではどのようなリサーチを行いましたか?
土屋文明氏・田中久美子氏(アプリ広告販促チーム):私たちは、日用品EC「ロハコ」のコアユーザーである30代のママ層に事前インタビューを実施しました。
その結果、 1つ目は「商品検索のしやすさだけでは買い忘れは防げない」 2つ目は「日用品は他の買い物ついでに購入される」という点が明らかになりました。
この気づきから、アプリでは以下の機能を実装しました。
- 購買ルーティンの支援(時短)
- 買い忘れ防止の通知
- レコメンド強化によるまとめ買いの促進
現在は、2時間限定クーポンの配信や「Happy On Time」通知による配達状況の案内など、ユーザーとの接点を増やしています。
アプリ開発初期に意識すべきこと
最後に、主催者であるRepro社から、開発初期の失敗事例と対策が紹介されました。
よくある失敗パターン
- アプリにする必然性がない
- 自社事業と連携していない
- 機能を詰め込みすぎたUI
成功のための前提条件
- プロモーション/セールス/CRM、いずれかに目的を絞る
- 初期段階では必要最低限の機能に抑える
成功アプリに共通するのは、段階的にユーザーのニーズに応じて機能を追加している点です。企画段階での目的設定の重要性が改めて強調されていました。
まとめ
企業ごとにユーザーニーズや業態は異なるものの、アプリ開発に共通する本質は「目的の明確化」と「ユーザー視点の徹底」です。今回のイベントを通して、アプリの機能性ではなく“本質的な価値”を考え抜くことの重要性を再確認する機会となりました。