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【fluct Magazine 過去記事】株式会社ネットフロンティアに日本市場でしのぎを削るDSP各社の違いについて聞いてきました
2016.01.27
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日本におけるDSP選定のリアルと実践
現在、日本では多くのDSP(デマンドサイドプラットフォーム)が日々しのぎを削っている。それぞれの違いや使い分け方とは。今回は複数のDSPを活用する株式会社ネットフロンティアの奥川さんに、その選定基準や運用実態について伺った。
ネットフロンティアと奥川さんのこれまで
ご自身、そしてネットフロンティアについて教えてください。
ネットフロンティアは1997年設立のデジタルエージェンシーです。創業当初は検索連動型広告に注力し、現在はディスプレイ広告やソーシャル領域へと展開しています。社員は国内が約45名、海外拠点(ベトナムやカンボジア)に約20名。
私は2009年に広告運用担当として入社し、その後セールスへ異動。さらに自社メディアの企画・運用部門を経て、再び営業として活動しています。現在は新規開拓よりも、既存顧客の課題解決に重きを置いたスタイルで、キャンペーンの設計・分析・改善に携わっています。
担当クライアントと関わり方
現在の主なクライアントを教えてください。
担当しているのは、国際機関、グローバルEC、化粧品メーカー、人材系企業など。さらに、他代理店の運用支援として、クライアントに同行したり裏側の運用に入ったりと、幅広く関わっています。
DSP選定の基準と運用思想
DSPはどのような基準で選んでいるのでしょうか?
私たちが最も重視しているのは、データがどれだけ見えるか、そして自社での運用が可能かどうかです。ブラックボックス型や運用委託型のDSPは除外し、できる限り自分たちで制御できるものを選定します。
自動運用のDSPを否定しているわけではありません。成果が安定していれば便利であり、工数削減にもつながります。しかし、成果が落ちた際に原因特定や改善が難しいため、責任ある運用を行うには向いていないと考えています。
初期検討リストを作成した後は、予算・業種・目標(CPA重視かリーチ重視かなど)に応じて最適なDSPを絞り込み、最終的な選定はフロント営業が責任を持って判断します。
クライアントからDSPの指定を受けることはありますか?
「このDSPを使ってほしい」といったご要望はありますが、基本的にはお断りしています。代理店間で同一ユーザーの奪い合いが起こり、結果的にフリークエンシーが過剰になってしまうためです。
複数のDSPが同じユーザーに対して入札を繰り返すと、クライアントの予算が無駄に消費されてしまいます。そのため、全体最適を目指した運用設計を優先させています。
活用しているDSPとその特徴
Yahooディスプレイアドネットワーク(YDN)
Yahoo JAPAN本体への配信が可能という点が最大の強み。ただし、配信面ごとの成果差が大きく、場合によってはキャンペーンを分けて運用することもあります。レポート機能に課題があり、任意期間の指定ができない点はやや不便に感じます。
Google Adwords(GDN)
配信面の広さに加えて、Google Analyticsとの連携により柔軟なリターゲティングが可能。UIも直感的で使いやすく、安定した運用ができています。
DoubleClick Bid Manager
vCPM(視認範囲CPM)での入札が可能。使い勝手は良いのですが、大量のクリエイティブ入稿が手間となる場面も。バルクアップロードに対応していない点は改善の余地があります。
ScaleOut
KDDIのオーディエンスデータを活用できるのが特徴。検索クエリに基づく詳細なターゲティングや、SSP別の効果分析が可能です。同じメディアでも経路による効果差を可視化できる点が魅力です。
Logicad
クリックフリークエンシーが設定できるユニークなDSP。一度クリックしたユーザーに当日は表示しないといった調整が可能で、CPAとボリュームの両立が狙えます。
CRITEO
多商材のリターゲティングに強く、ボリュームを確保しながらCPAを維持できる点が最大の魅力。ただし、均等配信ができないため、予算管理には注意が必要です。
YahooプレミアムDSP
Yahoo JAPANが持つ独自のオーディエンスデータを活用し、例えば「韓国旅行に興味を持つユーザー」などへのピンポイント配信が可能です。
nex8
他DSPと配信面が重複しにくく、計測ズレも少ないため、特に人材や教育分野で重宝しています。独自メディアでの配信が安定した成果につながっています。
Twitter Ads
ツイート内容に基づくターゲティングが可能で、ユーザーの関心の鮮度を反映した訴求ができます。特にリターゲティング外でのリーチ獲得に適しています。
Facebook広告
クリエイティブによる成果差が大きいため、ターゲティングは類似ユーザー配信に絞り、クリエイティブのPDCAに集中しています。
計測ズレとその背景
計測のズレとはどのような問題なのでしょうか?
多くのDSPでは、リターゲティングタグを踏んだすべてのDSPがそれぞれ自分の成果としてコンバージョンを計上します。しかし実際には1つのCVしか発生しておらず、アドエビスなどの効果測定ツールと大きな乖離が生じます。
弊社では効果測定ツールのデータをベースにパフォーマンスを評価し、各DSPの数字はあくまで参考値として扱っています。
DSPを多用する意義
GDNとYDN、Facebookだけでも十分な気がしますが……?
確かに、一定規模まではその3媒体だけでも成果を上げることは可能です。ただし、より広範囲なキャンペーンを展開する際には、それぞれに得意分野を持つDSPを組み合わせた方が、柔軟かつ高精度な配信が可能になります。
クライアントが意識すべきポイント
良い代理店を見極めるにはどうすれば?
大切なのは、代理店の「組織」ではなく「担当者」の力量です。大手でも新卒が担当すればノウハウに不安が残りますし、小規模でも経験豊富な担当者がいれば成果は期待できます。
また、DSPごとの専任体制を敷く代理店もありますが、それによって全体最適が見えにくくなることも。大切なのは、DSP単位ではなくキャンペーン全体のパフォーマンスを最大化する視点を持っているかどうかです。
ネットフロンティアのポジショニング
他代理店との違いについて教えてください。
私たちは単なる広告代理店ではなく、クライアントのハウスエージェンシーを目指しています。広告だけにとどまらず、事業成長全体に関わることができるのが強みです。
戦略ミーティングへの同席、メディア設計、記事制作支援、CRM設計まで幅広く対応。実際、大手クライアントの社長と弊社代表が2週に1回ディスカッションを行っている事例もあります。
最後に読者へのメッセージ
求める仲間像とは?
私たちの仕事は営業ではなく、課題解決を担うコンサルタントです。ウェブ領域でクライアントにとって本当に必要なことを提案し、伴走してくれる仲間を求めています。
事業成長の一翼を担いたい方は、ぜひご連絡ください。